二十世紀の終りにあたって、私たちは大きな「価値の転換」への必要性に迫られています。ひとつ環境問題から見ても、大量消費にもとづく生産や経済の仕組みを根本的に変革しなければならないのは、もはやだれの眼にも明らかです。そして、グローバリゼーションや自由競争原理にも、自我ないし自己中心主義にも、ものをつくるシステムにも、あるいはそれぞれ固有の風景や風土性の問題にも、広く生活世界や生の在り方にも、いま新しいエチカ(倫理)の創出がもとめられています。