デザイン価値論の展開

新しいエチカの創出とは、新しい価値論の問題であり、デザインの哲学的な課題であるともいえます。古くから人間の理想としての普遍的な価値を「真・善・美」ということばで 表わしてきましたが、とくに近代においては、真は論理的な認識上の問題として、善は倫 理上の問題として、美は審美上の問題として、それぞれ論理学、倫理学、美学といった個別 の学問的対象としてとらえられてきました。しかし、価値の転換を図るとともに、デザインの価値論を展開するためには、あらためて「真・善・美」を統合的に捉える 視点ないし世界認識が必要だと思います。